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2.GPME開発の目的とその方針

我が国製造業は、経済的・社会的にかつてない厳しい状況の中にあって、設計・生産活動の効率化と高度化を図り、生産性と品質の向上やリードタイムの短縮を実現することが以前にも増して強く求められている。CIM(Computer Integrated Manufacturing)は、そのための有力な方策として、かねてより期待されてきたが、昨今のハード・ソフト両面における情報技術の目覚ましい進展により、本格的なCIM実現の技術基盤は今や揃いつつある。
本開発研究で開発されたGPMEは、様々な製造業のうち造船業を含む組立産業を対象として、そのCIM実現の鍵である製品及び製造プロセスのモデル構築作業を高度に支援するための開発環境であって、具体的には予め実装された汎用的なクラスライブラリ群と一連の開発支援ツールで構成されるソフトウェアパッケージである。本章では、まずこのGPME開発の経緯や主眼点、またその開発方針について記す。

2.1開発の背景と組立産業の特徴

序にも述べたように、平成元年および平成4年から実施された二つのCIM関連開発研究により、船の設計から製造までの知識とデータを抽出、整理し定式化(formalize;知識・データの整合性・統一性を確保して抽象化)した結果、造船業CIMシステム設計の根幹部分に相当するフレームモデル設計書が既に完成していた。GPMEはこの成果を踏まえて開発されたものであるが、ただしそれが開発環境であるという性格上、また費用対効果の観点から、その適用対象を、造船業のみに限ることなく、より広い組立産業全般を想定してその開発を実施した。
ここで組立産業とは、例えば船舶や航空機のような動くものから、ビルや橋梁、あるいは化学プラントのような建築物や大規模な装置、設備まで含む製造業である。素材や部品産業などの他産業と較べて、組立産業は以下のような特徴を持っている。
?製品の構造が複雑かつ大規模である:
船、自動車、飛行機、橋、建物、各種プラント等
?開発に短いリードタイムが要求される:
価格や品質も重要であるが、時間も競争力においては重要なファクタである
?多くは一品ないし小ボリューム生産である:

 

 

 

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